【加工】テレセントリックレンズ

概要

光の反射や屈折などの性質を利用して物体の像をつくったり、集光したりする器具や装置を光学系といいます。
テレセントリックレンズとは、主光線がレンズ光軸に対して平行な特殊な光学系です。主光線がレンズ光軸に対して平行なため、テレセントリックレンズにおける画角は0度となります。
この光学系を用いると、光の入射角を常に一定とすることができます。つまり、レーザー加工においては、ワークのどの場所においても同じ入射角のため、場所によらず均一な加工ができることになります。
通常は、複数のレンズを組み合わせたレンズ群から構成されています。

特徴

テレセントリックレンズには、被写体と光学系の距離が変化しても倍率の変化がなく、ワーク面全体を真正面から撮影できるという特徴があります。
レーザー加工の分野では、場所によらず均一な加工を実現できます。また、計測や検査の分野では、高低差・奥行きのある部品に適用できます。

種類

テレセントリックレンズには、以下の3つの種類があります。

  • 両側テレセントリックレンズ
  • 物体側テレセントリックレンズ
  • 像側テレセントリックレンズ

両側テレセントリックレンズとは、物体側と像側の両側ともテレセントリック構造となっています。
撮像系の場合、ワーク側の位置決めが不安定な場合でも、力メラ側の取り付けがラフな場合でも、テレセントリック効果があるため片側構造のテレセントリックレンズに比べて、より高精度な撮影、測定ができます。

物体側テレセントリックレンズとは、物体側(一般には検出器側)のみをテレセントリック構造とし、像側は一般のレンズと同じように焦点距離を有する構造です。
撮影される結果は、使用する力メラのイメージセンサーの取り付けや、レンズの取付精度にある程度依存します。
そのため、一般的に両側テレセントリックレンズに比べてやや加工や測定の精度が劣ります。
しかし、テレセントリック構造が片方だけで済むため、両側構造のテレセントリックレンズに比べて、レンズ群を構成するレンズ枚数を少なくすることができ、レンズそのものをコンパクトにできます。

像側テレセントリックレンズも物体側テレセントリックレンズと同様に、像側のみにテレセントリック構造を有する構造です。力メラなど検出器を使用してワークを撮影するような場合に用いられることは少なく、半導体露光装置のような結像系のシステムに適用されることが一般的です。

応用例

レーザー加工での応用例は、ガルバノミラーの集光光学系に用いられます。走査範囲内でワークへのレーザー入射角が一定であるため、どの領域においても均一な加工条件にてかこうできるため、同程度の品質を実現できます。
また、検査系での主な応用例は画像処理です。例えば、ピンの垂直度等を見る場合、通常のレンズでは画面の端部では視差により物体が屈曲して検出されます。しかし、テレセントリックレンズを使用した場合、画面中央と端部の視差による歪み(distorsion)が極めて小さく、検査対象物が画面上のどこにあっても正確に検査できます。
また、同様に、ネジ穴など筒状のワークや高低差のある部品の検査にも物体側テレセントリックレンズは効果的です。

参考

テレセントリックレンズ: テレセントリシティが有利な点
テレセントリック講座 – 有限会社フィット

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