【加工】レーザーアブレーション

概要

レーザーアブレーションとは、レーザー光を用いて物質表面を蒸発、削り取る加工技術のことです。主に金属やセラミックスなどの硬質材料の加工に用いられます。

物質を溶融させることなく、削り取るため、蒸散とも呼ばれています。

原理

レーザーアブレーションの原理は、レーザー光による物質の蒸発・剥離です。レーザー光は、高エネルギーの光子を集めたものであり、この光を物質に照射することで、物質表面の分子や原子を励起し、熱や圧力の影響で物質表面が蒸発・剥離します。

具体的には、レーザー光が物質表面に照射されると、光のエネルギーが物質表面の分子や原子に吸収され、その結果として分子や原子が励起されます。この励起により、物質表面が熱や圧力の影響を受けて蒸発・剥離します。

レーザーアブレーションに用いるレーザー光は、通常はパルスレーザーを用います。パルスレーザーは、非常に短時間(数ナノ秒から数フェムト秒)の間に大量の光子を集めて放出することができます。このようにして、短時間で大量のエネルギーを物質に与え、効率的に蒸発・剥離することができます。

また、レーザーアブレーションにおいては、レーザー光の波長やパルス幅、パルスエネルギー、照射角度などの条件を調整することで、加工する物質に合わせた最適な条件を設定することができます。

種類

レーザーアブレーションには、以下のような種類があります。

ナノ秒パルスレーザーアブレーション

ナノ秒パルスレーザーアブレーションは、数ナノ秒の短いパルスを用いた加工方法です。この方法では、レーザー光が照射された瞬間に物質表面に高いエネルギーが集中するため、熱によるダメージを最小限に抑えることができます。この方法は、金属、セラミックス、ガラス、半導体などの硬い材料の加工に適しています。

ピコ秒・フェムト秒パルスレーザーアブレーション

ピコ秒パルスレーザーアブレーションは、ピコ秒オーダー(1ピコ秒=10-12秒)、フェムト秒パルスレーザーアブレーションは、数十フェムト秒(1フェムト秒=10-15秒)の短いパルスを用いた加工方法です。この方法では、ナノ秒パルスレーザーアブレーションよりもさらに熱的なダメージを抑えることができます。この方法は、金属やセラミックス以外にも、光学材料やバイオマテリアルなど、比較的柔らかい材料の加工にも適用可能です。

応用

マイクロ加工

アブレーションのメインの応用は、このマイクロ加工です。

レーザーアブレーションは、非常に高精度な加工が可能であるため、微細な部品の加工に用いられます。例えば、スマートフォンやタブレット端末の基板やチップ、LEDやMEMS(マイクロ電子機械システム)の製造などに応用されています。

医療分野

レーザーアブレーションは、皮膚や眼などの医療分野でも応用されています。例えば、レーザーを用いたレーザー治療において、腫瘍や糸状維を除去するために用いられたり、眼科手術において角膜や水晶体の手術に用いられたりします。

参考文献

5.レ−ザ−アブレ−ション応用の現状と今後の展開

第2章 4. レーザーアブレーション – Produced by 光響

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